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資料区分 セメント・コンクリート論文集
管理ID 76-436
VOL 76
発行年 2022
タイトル 石炭ガス化溶融スラグを用いた高強度モルタルの力学性能および耐久性
英語タイトル MECHANICAL AND DURABILITY PERFORMANCE OF HIGH STRENGTH MORTAR BY USING IGCC SLAG
著者(1) 横関 康祐/YOKOZEKI Kosuke*1
著者(2) 中澤 優/NAKAZAWA Yu*2
本多 俊介/HONDA Syunsuke*3
篠田 佳男/SHINODA Yoshio*4
著者所属 *1:東洋大学 理工学部都市環境デザイン学科(〒350-8585 埼玉県川越市鯨井2100)/TOYO UNIVERSITY, Faculty of Science and Engineering, Department of Civil and Environmental Engineering(2100, Kujirai, Kawagoe-shi, Saiatama 350-8585, Japan)
*2:元東洋大学、現清水建設株式会社 土木東京支店横浜営業所(〒231-0041 神奈川県横浜市中区吉田町65-7)/SHIMIZU CORP.(65-7, Yoshida-cho, Naka-ku, Yokohama-shi, Kanagawa 231-0041, Japan)
*3:元東洋大学、現株式会社クリエイション 金融第2グループ(〒102-0083 東京都千代田区麹町3-2-6)/CREATION CO., LTD.(3-2-6, Kojimati, Tiyoda-ku, Tokyo 102-0083, Japan)
*4:日本コンクリート技術(〒130-0026 東京都墨田区両国4-38-1)/JAPAN CONCRETE TECHNOLOGY CORP.(4-38-1, Ryogoku, Sumida-ku, Tokyo 130-0026, Japan)
ページ 436-442
キーワード 石炭ガス化溶融スラグ,IGCC slag|力学性能,Mechanical properties|耐久性,Durability|凍結融解,Frost damage|塩害,Chloride attack
要旨
現在、我が国では国内発電量の約7割を火力発電が占めており、多大なCO2の排出が問題視されている。そのため、石炭火力発電を高効率化した石炭ガス複合発電(IGCC)が注目されている。IGCCは高い発電効率とCO2排出量の低減効果を確認しているが、副産物として排出される石炭ガス化溶融スラグ(IGCCスラグ)の処理・利用が課題のひとつとされている。この課題をクリアすべく本研究では、IGCCスラグを用いた高強度モルタルの力学的性能および耐久性の評価を行った。
At present, thermal power generation accounts for about 70% of domestic power generation in Japan, and a large amount of CO2 emissions are regarded as a problem. Therefore, integrated coal gas combined cycle (IGCC), which has improved the efficiency of coal-fired power generation, is drawing attention. IGCC has confirmed high power generation efficiency and CO2 emission reduction effect, but one of the issues is the treatment and utilization of integrated coal gasification combined cycle (IGCC slag) emitted as a by-product. In order to solve this problem, in this study, we evaluated the mechanical performance and durability of high-strength mortar using IGCC slag.
はじめに
 現在、我が国では、2011年の東日本大震災発生以前に比べ、主力電源が原子力発電に代わって火力発電の割合が増加した。2020年現在、国内発電量のうち約27.6%を石炭火力発電が占めている1)。一方、欧州を中心としてCO₂排出量が懸念される石炭火力発電の削減、再生可能エネルギーへの転換が叫ばれている。そのため、我が国では地球温暖化抑制の観点から様々な取り組みがなされており、石炭ガス化複合発電(IGCC)が注目されている。
 IGCCは従来型の石炭火力発電に比べ発電効率を約15%向上させ2)、CO₂排出量を約15%低減できる3)。一方、IGCCでは副産物として石炭灰ではなく、石炭ガス化溶融スラグ(IGCCスラグ)が発生する。石炭灰と同様、この処理費用が発電原価に影響してしまうため、コンクリートにIGCCスラグを有効利用できれば処理費の削減になると考えられる。これまでにIGCCスラグや高炉スラグを細骨材として用いたコンクリートの研究は盛んに行われている例えば4-7)ものの、IGCCスラグを用いた高強度モルタルに関する研究例はあまり多くないと考えられる。
 一方、近年、超高強度繊維補強モルタルや高強度埋設型枠など構造物の一部にモルタルを用いる開発が進んでいる例えば8-10)。モルタルの耐久性については、圧縮強度が100N/mm2を超えるような特殊モルタルに関する報告はある10)ものの、50〜100N/mm2レベルの高強度モルタルに関して、塩害や中性化といった一般的な耐久性照査に関する方法でさえ確立されているものはない。さらに、凍結融解抵抗性に関してコンクリートの研究は長年行われ、多くの知見が集積されている11)ものの、モルタルにおいて凍害を抑制できる空気量や強度などの知見は乏しい。よって本研究では高強度モルタルの基礎性状を評価するとともに、IGCCスラグの有用性について判断するために、IGCCスラグを細骨材として用いた高強度モルタルについて力学性能、塩害および凍害に関する耐久性の観点での評価を行うこととした。
まとめ
 本研究では、IGCCスラグを細骨材として用いた高強度モルタルについて力学性能、塩害および凍害に関する耐久性の観点での評価を行った。
 その結果、①摩砕処理を施したIGCCスラグは、山砂や摩砕処理前のIGCCスラグに比べて良好なフレッシュ性状を示す、②高強度領域では、IGCCスラグを用いた場合、山砂に比べてやや圧縮強度は低くなる、③IGCCスラグを用いた場合、静弾性係数は、山砂より大きく、普通コンクリートと同等となる、④空気量が1%程度と低い場合においても、IGCCを用いた高強度モルタルは400サイクル以上まで耐久性指数95%以上を保持できる、⑤本研究で用いた高強度モルタルの見掛けの塩化物イオン拡散係数は普通コンクリートの1/25程度と低く、埋設型枠として使用した場合、飛沫帯でも数100年の寿命が確保できる、といったことを明らかにした。
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